北米ギター放浪記 はじめに YouTubeを使い始めた2007年の夏は、ライブをやってもお客さんが来ない、CDは売れないと「ないない」づくしで、そろそろ表立った活動は辞めようかとすら考えていました。そんな中、2004年にアメリカでリリースした「With A Little Help From My Friends」(現在は廃盤)のプロデューサーM氏の強い勧めがあってダメもとで始めたのでした。登録名の「peacejoytown」は、「hiroshi」とそのバリエーションがすでに取られていたため、目の前の封筒に記されていた当時の私の住所「平楽町」をそのまま英語読みにしたものであり、特に意味のあるものではありません。その後、韓国の少年S君が私のアレンジを弾いてくれたり、「Will You Dance?」に作曲者のJ.I氏本人からコメントが来るなど、peacejoytownはあっと言う間に本人を上回る人気となっていったのでした。翌年の2008年にはYouTubeが縁でイギリス、ドイツ、イタリアを巡る旅も実現しました。しかし、peacejoytownと実際の私との差は広がるばかりで、ある時点から、YouTubeのチャンネル内で演奏しているのは別人だと思うようになりました。各動画に投稿されるコメントの大半はアメリカからのもので、いつの日か、それらの人々に直接お会いしたいという気持ちが年々高まっていた中、2014年にいくつかの偶然が重なって実現することとなったのです。 見知らぬ人との出会いと別れを繰り返す何とも贅沢な旅だったこともあり、帰国後は本にしようと意気込んでいました。しかし、実際に「話が聞きたい」という人と話していると、3ヶ月巡って観光名所をことごとく外していることが腑に落ちないのか、気付くとその方達の旅行話を聞く側になっていたのです。そうこうしているうちに帰国当初の意気込みも消えてしまいましたが、今のうちに書いておかないと忘れてしまう年頃になりつつあるので、つたない記憶をたどりながらホームページを使って公開することにしました。 *文中に登場する人物は、本人の確認が取れるまではイニシャル表記にしてあります。 |
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はじめに
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