北米ギター放浪記 マートルビーチ 2014年7月20日 オーランドでの温かいおもてなしの余韻に浸りながらひたすら北上しました。途中、レストエリアで頂いたお弁当が何とも言えず美味しかったのは言うまでもありません。その後も仮眠を取りながら何とか明るいうちにこの日の目的地であるサウスカロライナ州マートルビーチまであと1時間ぐらいの所まで来ました。ここでWaffle Houseという東部ではよく見掛けるファミリーレストランに入ると、店内の様子がそれまでとは明らかに違っていました。窓側の席で普通に煙草をふかしている年配の女性がいるのです。基本的にアメリカでは店内は禁煙で、入口に灰皿が置いてあるのが一般的で、その光景を目にした時は一瞬何が起こっているのか理解できませんでした。食後にカウンターの中にいた店員に尋ねると「お前も吸うか?」と灰皿を出して窓際に行くように促されました。滅多にないことなので、ここはお言葉に甘えてアメリカ初の店内での一服を楽しんだのでした。ここだけ時代遅れなのかなどと理由を色々と考えているうちに、メンソール煙草で有名なSalemがこの辺りにあることを思い出しました。その後の調べで、Winston Salem自体は一つ北のノースカロライナ州にありましたが、たばこがサウスカロライナ州の主要農業生産品であることが分かりました。実際、煙草を買ったところ、他の州よりも価格が低めでした。州によって価格が違うのもこの国のユニークなところです。 この日にお世話になるマートルビーチは、東海岸ではそこそこ名の通ったビーチとのことですが、私は最初の「Myrtle」の部分が発音できないぐらい知りませんでした。カリフォルニア州のレドンドビーチ同様、ここでもきっとビーチそのものは見ないで終わりそうな気がし、せめてもということで、道中の海岸の景色を楽しませてもらいました(結局この予感は当たりました)。 この日はモーリス氏宅で「一宿一飯のお礼は演奏」をすることになっていました。思い返せば、旅はこのテーマで始まったのですが、意外にもこのテーマをそのまま実践したのはニューメキシコ州アルバカーキとフロリダ州タンパだけなので、今回が三度目になります。 家は新興住宅地の中にあり、広大な敷地内にはまだ建築中の家や更地になっている所もありました。レストランなどの商業施設もあり、まるで一つの町が生まれようとしているみたいでした。到着後、その敷地内にあるイタリアンレストランで御馳走になり、帰宅後はモーリス氏の書斎でリクエストに応えて演奏したり、ワンポイントレッスンなどをして過ごしました。 モーリス氏は私の熱烈なファンの一人で、目の前で一所懸命に私のアレンジを弾いている姿は微笑ましい限りです。引っ掛かっている箇所ではその原因と思われることを見つけて、修正方法などをアドバイスしました。弾けるようになりたいと漠然と言われても「弾きましょう」ぐらいしかアドバイスできませんが、小さな壁にぶつかっている人の壁を取り除くのは意外に得意だったりするのです。 *文中に登場する人物は、本人の確認が取れるまではイニシャル表記にしてあります。 |
目 次 |
はじめに
|