北米ギター放浪記

番外編#2「最後のライブ」

2008年7月30日

日本でもホテルではよくやってしまうのですが、ベッドの上に横になったまま寝てしまったようで、身体のいたるところが痒くて3時半頃に目が覚めました。ベープのようなものがテーブルの上に置いてあったのはこのためだったのかと気付かされました。これまで蠅や蜂が飛び交うことはあっても蚊はいなかったので、油断していました。蝉がいるということは蚊もいるということです。ムヒでも持ってくればよかったと後悔しても後の祭り、眠さに任せてカバーの下にもぐりこんで二度寝しました。

8時半頃に目が覚め、フロントに行ってエスプレッソを頂きました。このホテルの女将さんは、P氏の友人のお母さんで、私がP氏の誘いでフィレンツェに来ていることもご存知だったので、昨晩彼の家に行ったこと、丘まで連れて行ってくれたことなどを話しながら朝の一時を過ごしました。息子の友人の友人だから私のことを年下だと思ったのでしょう。私が50歳だと言ったら驚いた様子でした。私の方が上だったのです。知り合いの知り合いということで、エスプレッソはサービスしてくれました。朝食が10時までとのことなので、そのまま地下の食堂に行き、クロワッサンとヨーグルトなどを頂きました。イタリアのクロワッサンはどこかフルーティーな香りがしてとても美味しかったです。

Hotel desk

1度部屋に戻ってシャワーを浴び、ホテルから2ブロックほどの所にあるコインランドリーでこの旅最後の洗濯をしました。洗濯機はアメリカ製ということもあり英語の説明書きがあるのですが、洗濯機用のトークンを買うマシンや乾燥機の表記はすべてイタリア語だったので、居合わせた年配の女性に使い方を教えて貰いました。ドライヤーは目安が分からなかったのでトークンを2枚入れたのですが、半分ぐらいのところでチェックしたら完全に乾いていました。私の後に毛布を洗いに来た二人組の女性に「まだ30分ぐらい使えるからどうぞ」と言ったら、差額を払うとのこと。トークンを入れ過ぎたのは私なので差額は結構ですと断ると、すごく恐縮した様子でお礼を言われました。こういうところはどこか日本人と通じるような気がしました。

street

1時過ぎにP氏が自転車で、1時半にお父さんが車でそれぞれ到着し、昼食をご馳走になりに家まで連れて行ってもらいました。マッシュルーム入りライスというのでどんなのが出てくるかと思いきや、キノコのリゾットでした。これがまた大変美味でしたが、前夜のパスタで学習したので、おかわりは我慢しました。この後ライブが控えていなかったら全部頂いていたかもしれません。案の定、その後にローストビーフやサラダ、チーズなどが出てきました。食後はライブに備えて練習し、5時少し前に会場に向かいました。小さな映画館のような会場で、ステージだけでイギリスの会場ぐらいの広さがありました。音出しをした後ホテルまで戻り1時間程仮眠させてもらい、8時過ぎに再び会場に向かうことに。そこそこの数の人がすでに会場付近にいて、P氏が友人たちを一通り紹介してくれました。こんなに高校生の多いライブは初めてです。会場が広い分、閑散としたら悲惨なことになり兼ねないところでしたが、満席とまではいかないまでも50人ぐらいは来てくれました。また、お母さんらしき女性の姿も多く見られ、何人かと話してみると、イタリアの男はサッカーバカが多いと嘆いていました。日本の野球バカみたいなもんでしょうか。場所柄、ライブというよりはリサイタルみたいになりましたが、演奏は落ち着いてできたと思います。

on stage

終演後は会場近くのピザ屋に行ってマルゲリータをご馳走になりました。フィオレンティーナのユニフォームを来た人が大勢居て、どうやら試合には勝ったようです。バルセロナの(当時の)スターであるロナウジーニョは来ていなかったとのことですが、たとえ彼が来ていたとしても勝ったと息巻いていました。観光客が来るような地域ではないのか、ギターを抱えた私のことを珍しそうに眺めていました。あとは帰って寝るだけなので、2人前はあろうかというサイズのピザを全部たいらげました。その後ホテルまで送ってもらい、ここでP氏とはお別れということになりました。彼はよく頑張ってくれました。バルセロナという強敵を前に内心穏やかではなかったはずです。しかとハグをし、再会を誓って別れました。翌朝は、P氏のお姉さんがピサの1つ先の駅まで行くとのことなので、予定していた電車より1本前になりますが彼女と一緒に行くことにしました。1人では切符を買うのも難儀するのが目に見えていたからです。フロントには5時のモーニングコールをお願いしました。

family

*文中に登場する人物は、本人の確認が取れるまではイニシャル表記にしてあります。

「フィレンツェ」Supporter's Area「帰国」

目 次

はじめに
出国まで
シアトル
カリフォルニアへ
休息日
サニーベール
LAへ
レドンドビーチ
ツーソンへ
アルバカーキ
コロラドへ (奇跡の旅の始まり)
バーザウド
デンバー
オクラホマシティーへ
オクラホマシティー 2 days
テキサスへ
サンアントニオ
ジョージタウン
ダラス
ヒューストン 2 days
ベントン
ナッシュビル (CAAS)
ロスウェル
タンパ 2 days
マイアミ
オーランド 2 days
マートルビーチ
チャペルヒル 3 days
キングスポート
インディアナへ
インディアナ州フィンガースタイルコンテスト
スタテンアイランドへ
マンハッタン
フィリップスバーグ
ナザレス(マーチン工場)
マサチューセッツへ(奇跡の完結)
メシュエン
モントリオールへ
バッファローへ
メドヴィル前乗り
メドヴィル幽霊ホテル
デトロイト
シカゴ
ミネアポリス
番外編
番外編#2「2008年欧州ツアー/出発まで」
チェコ1
チェコ2
ロンドン
リバプール
チェシャム
ドイツへ
レムゴ
インゴルシュタッド
ブレゲンズ
イタリアへ
フィレンツェ
最後のライブ
帰国