北米ギター放浪記 マンハッタン 2014年7月28日 前日と翌日の予定が決まっていたこの日は完全休養日となり、P氏の提案でマンハッタンまで観光に行くことにしました。彼自身はマンハッタンが好きではないということで一人で行くことに。ニューヨークと言えば都会のイメージがありますが、P氏の住むスタテンアイランドは地方の田舎町のような雰囲気で、電線の上をリスがちょろちょろとしていました。 午前中は、島内にある楽器屋を二軒巡りました。P氏はいずれのショップでも常連のようです。入るなりすぐに私に試奏するように催促するので、言われるがままにその辺にあった楽器を弾いていました。どうも店員の反応を見て楽しんでいたようで、二軒とも車に乗ってから「あそこの店で弾き続けて文句言われないということは、認めてくれたってことだ」と誇らしげでした。二軒目に行ったMandolin Brothers Ltdという店は、アコースティックギター好きにはたまらない所だということが帰国後に分かりました。ボブ・ディラン、ジョニ・ミッチェル、ポール・サイモン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリソン、ジュディ・コリンズ、サラ・マクラクラン、ドン・マクリーン、シェリル・クロウ、グラハム・ナッシュ、ブルース・スプリングスティーン、スティーブン・スティルス、デーブ・ヴァン・ロンク、パット・メセニーなど、お客さんのリストは豪華としか言いようがありません。2015年暮れに店を売りに出すとのニュースがありましたが、その後はどうなったのでしょうか。 https://www.facebook.com/mandolinbrothers/ 昼食は昨晩のガーデンパーティーにも来ていたというP氏の友人と三人で近くのレストランで御馳走になりました。その後、フェリー乗り場まで送ってもらい、もしかしたら機会があるかもとギターだけを背負って一人でマンハッタンに向かいました。何とこのフェリー無料なのです。 自由の女神を横目に見ながら30分ほどでマンハッタンの南端に着きました。1981年と82年の冬に短期間マンハッタンに滞在しましたが、夏に来るのは初めてです(81年の夏は西に出稼ぎに行き、82年には帰国していた)。まずは、観光客の多さにびっくりです。季節が違うのもあるとは思いますが、時代も変わったのでしょう。当時は、ボストンからのグレイハウンドが着くウェストサイドはできれば近付きたくないエリアで、途中で通るブロンクスは映画「ウォーリアーズ」のセットのようでした。ところが、どこに行っても観光客が溢れていて、ピリピリした空気はまったく感じられません。治安がよくなったのは喜ばしいことなのでしょうが、あのピリピリ感がないことにどこか物足りなさを感じたのでした。お決まりのワールドトレードセンター跡地にも行きましたが、すぐ横にピラミッド型の新しいビルが建っていることに寒気がし、すぐに立ち去りました。 前日の大移動の疲れも残っていたのでしょう。歩き出してすぐにギターを背負っていることを後悔しました。せめてセントラルパークまでと歩き出したのも束の間、すぐにスタバで涼を取っていたのでした。そうこうしているうちにiPhoneのバッテリーが半分以下になり、これが使えなくなるとP氏に迎えに来てもらえないので引き返すことに。途中「無駄な騒音禁止」との標識がありました。日本にもぜひ立てて欲しいものです。 行きもそこそこ混んでいましたが、帰りは結構な混みようです。徐々に遠ざかるマンハッタンの夜景を甲板から眺めながらスタテンアイランドに戻り、P氏の家まで戻りました。 *文中に登場する人物は、本人の確認が取れるまではイニシャル表記にしてあります。 |
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はじめに
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