北米ギター放浪記
ツーソンへ
2014年6月22日
深夜に出たため渋滞にも巻き込まれず、パーティーの余韻に浸りながら車を走らせました。街を抜けると風も生暖かくなってきます。4時間ほど過ぎた頃に空腹感と眠気が同時に襲ってきたので、レストエリアに入り、アルミホイルに個別に包まれた炊き込み御飯のおにぎり、かぶと人参の酢漬け、沢庵、きんぴらごぼう、枝豆を頂きました。苦手な食べ物ランキングによれば、炊き込み御飯に入っていたと思われる椎茸は東の横綱、きんぴらごぼうは関脇クラスなのですが、T夫妻とその友人達の暖かい心尽くしを誰もいないレストエリアで頂いたせいか、涙が出るほど美味しかったです。暗がりでよく見えなかったのも幸いしたかもしれません。ちなみに西の横綱はセロリです。
陽が昇るとそこは見渡す限りの茶色い世界でした。最初の数回は新しい景色が開ける度に感動しましたが、それが永遠に繰り返されると次第に飽きてきます。余裕を持って出たとは言え、レディングの二の舞は避けたいところです。景色には目もくれずひたすらハンドルを握りました。ところが、途中でツーソンで会うべき人の名前も連絡方法も覚えていないことに気付き、マックの看板を見つけてはMacBook ProでYouTube、Facebook、メールなどを探しましたが、どうしても見つかりません。正午過ぎにはそのまま進めば3時頃には到着するという地点まで来たのですが、グレン・キャンベルの歌で有名なフェニックスを通り過ぎたのも気付かないほど頭の中ではツーソンの人を探し続けていました。
あと1時間ほどというところまで来たところで携帯が鳴り、出てみると私がツーソンに向かっているのをYouTubeかFacebookで知ったというGという方でした。フェニックス方面から見てツーソンの手前に住んでいるので、もし時間があれば寄ってくれとのこと。ツーソンで会うべき人とまったく連絡が取れない状況であることを説明し、取りあえずそちらに向かうことに。iPhoneに送ってもらった住所を地図に渡してナビゲーションの指示通りに運転してその方の家に到着しました。行くと言った以上ツーソンに行かないわけにはいかないので、小一時間ほどしか居れないことを説明し、中に入ると、私が来ることを聞きつけた隣の家のお姉さんもいました。G氏はずっと私のYouTubeを見ているとのことで、目の前で私がギターを弾いているのがとても嬉しそうでした。隣のお姉さんも最初は無口でしたがすぐに打ち解け、何でも日本人と話すのは初めてとのこと。冷たい飲み物を頂きながらリクエストに応えて30〜40分ほど演奏し、その場でWi-Fiを拝借して再びツーソンの人を探し始めましたが、どうしても見つかりません。
レディングのような空振りではないにしても、ファウルでカウントを稼がれたといったところでしょうか。ツーソンには6時頃に到着したのですが、この時点で既にこの晩の予定はないと諦めていたので、適当なモーテルを探してチェックインしました。デニーズが隣接していたので、シャワーを浴びて腹ごしらえに向かうと、入口付近で掃除をしていたオジさんが私にスペイン語で何かを話し掛けてきます。スペイン語は分からないことを英語で伝えると、少し驚いた様子で「何でだ？」と聞いてきました。理由はないけどスペイン語は分からないのです。しかし、入口のガラスに映った自分の顔を見て納得しました。運転中はガソリンの節約も兼ねて、できる限りエアコンは使わずに窓を開けていたのですが、おかげでこんがりキツネ色になっていたのです（特に左半分）。1979年か80年のカリフォルニア訪問時に、メキシコの国境手前まで来てパスポートを持っていないことに気付いて引き返したのですが、直後にハイウェイパトロールに停められて不法移民扱いされたことを思い出しました。その時は短パンをめくって焼けていない肌を見せて難を逃れたのでした。私は焼けるとメキシコ人になるようです。
デニーズには、55歳以上の人だけが頼める量も値段も抑え目のメニューがありました。この時のお姉風のいかついウェイターは信じてくれましたが、今後は念のためパスポートを持って入店した方がよさそうです。掃除のオジさんは帰りもスペイン語で話し掛けてきました。
*文中に登場する人物は、本人の確認が取れるまではイニシャル表記にしてあります。
目 次
はじめに
出国まで
シアトル
カリフォルニアへ
休息日
サニーベール
LAへ
レドンドビーチ
ツーソンへ
アルバカーキ
コロラドへ (奇跡の旅の始まり)
バーザウド
デンバー
オクラホマシティーへ
オクラホマシティー 2 days
テキサスへ
サンアントニオ
ジョージタウン
ダラス
ヒューストン 2 days
ベントン
ナッシュビル (CAAS)
ロスウェル
タンパ 2 days
マイアミ
オーランド 2 days
マートルビーチ
チャペルヒル 3 days
キングスポート
インディアナへ
インディアナ州フィンガースタイルコンテスト
スタテンアイランドへ
マンハッタン
フィリップスバーグ
ナザレス（マーチン工場）
マサチューセッツへ（奇跡の完結）
メシュエン
モントリオールへ
バッファローへ
メドヴィル前乗り
メドヴィル幽霊ホテル
デトロイト
シカゴ
ミネアポリス
番外編
番外編#2「2008年欧州ツアー／出発まで」
チェコ1
チェコ2
ロンドン
リバプール
チェシャム
ドイツへ
レムゴ
インゴルシュタッド
ブレゲンズ
イタリアへ
フィレンツェ
最後のライブ
帰国