北米ギター放浪記

オクラホマシティー 2 days

2014年6月28日〜29日

私は、習慣的にシャワーに入ると右手を上から、左手を下から背中に回し、身体の固さを測っていたのですが、それまでの何年かは、互いの指先が触れるれば大丈夫、触れられない時は固いというレベルだったのです。ところが、このあたりから互いの第一関節から先が重なるようになりました。ほぼ毎日相当な距離を運転し、モーテルではことごとくギターを抱えたまま寝落ちしていたので、これは意外でした。実際、慢性的にあった肩凝りも消えていました。恐らく、人と人の距離が狭い日本では自然と身構えることが多く、そのストレスが凝りとして出ていたのでしょう。

この日は、今日から二日間お世話になるD氏の夕食会で演奏することになっていたので、遅くとも夕食前には到着しなくてはいけないということで、ヘイズのモーテルを朝の6時頃に出発し一路オクラホマシティーを目指しました。まだ500キロ以上あるので油断するとレディングの二の舞になります。

その後も順調で、夕暮れ時にD氏宅に無事到着しました。スーツケースを家に運び入れるとすぐにD氏が出掛けるぞとのこと。どうも夕食会はD氏宅ではなく近くに住むD氏のお子さんの家で行うようです。そこでD氏の後を着いていくことになったのですが、ある交差点ですでに黄色に変わろうとしていたところをD氏の車は強硬突破したため、少し距離を置いていた私はそこで停止することに。D氏もそのことに気付いていたはずなのですが、そのままどこかへ消えてしまいました。生まれて初めてのオクラホマシティーでいきなり迷子になったわけです。仕方なく、その交差点の一角にあったコンビニの駐車場に車を停めてD氏からの連絡を待つことに。この時点では電話番号の交換をしていなかったので、Facebookのメッセージかアップルのメッセージのみが頼りだったのです。ほどなく「何処にいる?」とのメッセージが入り「巻かれた交差点にあるコンビニの駐車場にいる」と私。結局迎えに来てもらい何とか夕食会の会場となる家に着いたのでした。

家はまさに豪邸で、念のために積んであったAERがなければ到底太刀打ちできない広さでした。家族の夕食会と聞いていたわりには大人数で、会も盛大なものでした。1日中運転してすぐに迷子になったりと、落着く間もなく演奏を始めたので、演奏そのものはまったく問題ありませんでしたが、紹介されても誰が誰やらでまったく覚えられない自分がいました。

会の帰りに、奥さんが私の車で帰りたいというので、特に深く考えずにD氏の住所をiPhoneに入れてナビの指示通りに運転していると、すぐ前を走っていたD氏がいきなりナビとは違う道に逸れていきました。行きで懲りていたので、私はナビ通りに進んだのですが、この時横にいた奥さんが、D氏には近道を通ろうとする癖があるから気にしないでナビ通りで行きましょうとのこと。行きに置いていかれたのも納得です。

私用に部屋だけでなくシャワールームも用意していてくれて、まさに至れり尽くせりなのですが、シャワールームにはシャンプーらしきものがありません。実は、モーテルクラスの宿には石鹸ぐらいしかないのでシャンプーは自前で用意していたのですが、それもヘイズのモーテルで使い切ってしまい、次のモーテル泊までに用意しようと思っていたのでした。しかし「シャンプーは?」と聞いている途中でこの質問がまったく意味がないことに気付くのでした。

翌日は、教会で催されるイベントで演奏することになっていて、促されるまま会場となる教会まで行き朝の礼拝に参加してきました。事前にD氏からこの話を聞いた時、私は無信仰者だけどいいのかと確認をしていたのですが、まったく構わないとのこと。教会は、立派なホールのような作りで、広いステージには聖歌隊に加えバンドもいて、音楽あり説法ありの盛大なものでした。そして、この日のイベントで演奏するために日本から来たということで私が名指しで紹介され、数百人はいたと思われる会場で立ち上がって360度会釈をすることに。この時ほどクリスチャンではないことを恐縮したことはありません。

午後から始まったイベントは、教会の横にあるだだっ広い原っぱで開催され、AERを自分のモニター用に使用し、外への音は用意してもらったPAを使わせてもらいました。結局、何のイベントかは分からないまま演奏も無事終了し、1度D氏の家まで戻ってから次の目的地であるテキサス州サンアントニオに向けて出発しました。この時の別れも予想通り熱いハグの後は顔も合わさずというもので、私も慣れたものです。振り向くことなくスタスタと車の方に向かいました。ナビで8時間と出たので、明るいうちにオクラホマシティーを出れば、レストエリアで仮眠を取りながらでも余裕で着くはずです。

*文中に登場する人物は、本人の確認が取れるまではイニシャル表記にしてあります。

「オクラホマシティーへ」Supporter's Area「テキサスへ」

目 次

はじめに
出国まで
シアトル
カリフォルニアへ
休息日
サニーベール
LAへ
レドンドビーチ
ツーソンへ
アルバカーキ
コロラドへ (奇跡の旅の始まり)
バーザウド
デンバー
オクラホマシティーへ
オクラホマシティー 2 days
テキサスへ
サンアントニオ
ジョージタウン
ダラス
ヒューストン 2 days
ベントン
ナッシュビル (CAAS)
ロスウェル
タンパ 2 days
マイアミ
オーランド 2 days
マートルビーチ
チャペルヒル 3 days
キングスポート
インディアナへ
インディアナ州フィンガースタイルコンテスト
スタテンアイランドへ
マンハッタン
フィリップスバーグ
ナザレス(マーチン工場)
マサチューセッツへ(奇跡の完結)
メシュエン
モントリオールへ
バッファローへ
メドヴィル前乗り
メドヴィル幽霊ホテル
デトロイト
シカゴ
ミネアポリス
番外編
番外編#2「2008年欧州ツアー/出発まで」
チェコ1
チェコ2
ロンドン
リバプール
チェシャム
ドイツへ
レムゴ
インゴルシュタッド
ブレゲンズ
イタリアへ
フィレンツェ
最後のライブ
帰国