北米ギター放浪記

キングスポート

2014年7月23日〜24日

途中で友人のT氏が握ってくれたお結びを頂きながらのテネシー州キングスポートまでのドライブは中々快適でした。実は、この日お世話になるR氏との出会いはかなりユニークなものでした。この旅が決まった後のある朝、寝起きにiPadでWebサーフィンをしていると、「440 Hzより432 Hzの方が良い」という興味深い記事を見つけ、試してみようかななどと思いながらスクロールしているとサンプル動画があり、再生したところ、プロコル・ハルムの「青い影」のソロギター演奏でした。それが私のアレンジとうり二つだったのです。何度か聴いて確信し、ビデオ制作者に問い合わせたところ「その通り、お前のアレンジだ」とのこと。元々人の曲をアレンジして上げているので、クレームというよりは、むしろ取り上げてくれて有り難うという気持ちでした。この方こそR氏で、それが縁で泊めて頂く運びとなったのです。このアレンジに関しては、YouTubeにアップした時にプロコル・ハルムの関係者という方から、オルガンパートの編曲者のクレジットも入れてくれと催促されたり、娘の結婚式で弾こうと思って調べたら著作権の問題で長い間争っていて、歌詞も曲想とは大きく異なっていて却下したなど、色々とありましたが、まさかこのような縁結びをしてくれるとは思ってもいませんでした。

夕方前にR氏宅に到着し、その晩行く予定にしていたオープンマイクまでまだ少し時間があったので、何か弾きましょうということで「何がいい?」と尋ねると、「A Day In The Life」と来ました。いきなりで少し怯みましたが、指が覚えているアレンジなので演奏することには問題はありません。その後、スイカを頂きながらしばし談笑してからR氏のバンで店に向かいました。駐車場には大型のバイクが何台か並んでいて、入口付近には袖のない革ジャンを羽織った2メートル近くありそうなオジさんがいたりと中々ワイルドな雰囲気でした。

中に入ると、大勢の人でごった返していて、皆、表で見た車やバイクで来たのかと思うと少しゾッとしたのでした。空いているテーブル席を見つけ、R氏の音楽仲間も加わりハンバーガーを頂いていると「そろそろ始めよう」とマイクを持った人がアナウンスするのですが、店内は相変わらず騒然としたままです。何組か演奏した後にR氏の順番になり、例の「青い影」を演奏し始めました。私自身、この曲を人前で弾く時は間奏部の高音を含むオルガンパートは省くのですが、彼はその部分も弾いていました。大したものです。しかし、店内が余りにも騒々しくて、奥の方で歓声が上がる度に彼の音が掻き消されていたのでした。次が私だったので、ステージ脇でギターをチューニングしながら「手強いな」と少し及び腰になっていました。とりあえず、少し勢いのある曲で攻めようと、曲目は忘れましたがアップテンポな曲から始めたところ、火に油状態で、まったく収集がつきません。では、ということで一転してビリー・ジョエルの「She's Always A Woman」を弾き始めたところ、前の方に座っていた人達の「これってビリー・ジョエルじゃない?」という声が聞こえ、すぐにテキサス州ジョージタウン以来の「シーっ、シーっ」が聞こえてきました。私もR氏もびっくりです。演奏後に表で一服していると、先ほどの袖無し革ジャンのオジさんや、ちょいワル風の方達が満面の笑みで握手を求めてきました。流れとしてはフロリダ州オーランド1日目のオープンマイクと同じです。終わりよければすべてよしです。

その後、再びR氏宅に戻り、喧騒の余韻に浸りながら眠りについたのでした。翌朝は、R氏の元警察官というお父さんも交えてしばし談笑してから、コンテストの開催地であるインディアナ州ナッシュビルに向けて出発しました。

*文中に登場する人物は、本人の確認が取れるまではイニシャル表記にしてあります。

「チャペルヒル 3 days」Supporter's Area「インディアナへ」

目 次

はじめに
出国まで
シアトル
カリフォルニアへ
休息日
サニーベール
LAへ
レドンドビーチ
ツーソンへ
アルバカーキ
コロラドへ (奇跡の旅の始まり)
バーザウド
デンバー
オクラホマシティーへ
オクラホマシティー 2 days
テキサスへ
サンアントニオ
ジョージタウン
ダラス
ヒューストン 2 days
ベントン
ナッシュビル (CAAS)
ロスウェル
タンパ 2 days
マイアミ
オーランド 2 days
マートルビーチ
チャペルヒル 3 days
キングスポート
インディアナへ
インディアナ州フィンガースタイルコンテスト
スタテンアイランドへ
マンハッタン
フィリップスバーグ
ナザレス(マーチン工場)
マサチューセッツへ(奇跡の完結)
メシュエン
モントリオールへ
バッファローへ
メドヴィル前乗り
メドヴィル幽霊ホテル
デトロイト
シカゴ
ミネアポリス
番外編
番外編#2「2008年欧州ツアー/出発まで」
チェコ1
チェコ2
ロンドン
リバプール
チェシャム
ドイツへ
レムゴ
インゴルシュタッド
ブレゲンズ
イタリアへ
フィレンツェ
最後のライブ
帰国