北米ギター放浪記 バーザウド 2014年6月25日 奇跡の旅が始まると言っても、急にギターがびっくりするほど上達するとか、金回りがよくなるとかの類いではなく、あくまでも人と人の繋がりに関するものなので、もしかしたら他人から見れば大したことではないのかもしれません。そして、その繋がりが始まったのがこのバーザウドでした。 デンバーは、ボストン時代に西海岸に出稼ぎに行った時に経由地として寄っただけで、街そのものに行くのは初めてでした。一つ前のアルバカーキよりもさらに高地にあるということで、気候に関しては予想していた通りとても過ごしやすい所でした。ナビによれば前日に泊まったコロラドスプリングからは2時間と、それまでの移動距離からすればすぐそこです。デンバーのダウンタウンを通ることから多少の混雑を見込んで8時過ぎにモーテルをチェックアウトしてさらに北上しました。 ダウンタウン周辺の混雑もなく、ほぼ予定通りにチャックの家に着きました。家の前にパラソル付きのテーブルがあり、そこにチャックと若い女性が座っていて、私もその輪に加わりました。若い女性はチャックの娘さんのアンジェラでした。ほどなくして雨がパラパラと降り始めて家の中に入りましたが、夕方にはあがり、再び表のテーブルに座っていると、通りがかる人が少し寄っては談笑するという、久しく味わっていなかった近所付き合いを満喫したのでした。
宣伝を兼ねてすぐ近くの酒屋に流しのようにギターを持ったまま行き、その場で何曲か披露しました。もちろん店員さんはチャックの知り合いでした。残念ながら店番があるので夜のハウスコンサートには来れないとのことでしたが、演奏のお礼ということで煙草代はチャラにしてくれました。 夜のハウスコンサートは、チャックの友人知人達が大勢駆け付けてくれて、年齢層が高い分落着いた雰囲気の中和やかに進みました。この頃になると英語での会話もまったく苦にならなくなっていたので、よく喋ったコンサートでした。昼間聞いた列車のけたたましい汽笛について尋ねると、街中を通過している時は鳴らしっ放しで、踏切でこれに遭遇すると10分近くは待たされるそうです。 終了後にチャックからデトロイトにも行くのかと尋ねられ、行くつもりではあるけど、特に誰かと会うという予定はないと返事したところ、チャックの母が住んでいるので寄ればいいとのこと。その辺りを通るおおよその日程を計算し、後はお母さんとのやり取りの中で決めるということになりました。ここまでの成績が今一つだっただけに予定が埋まるのは大変有り難いのです。 チャックとレネー(左)/アンジェラ(右) *文中に登場する人物は、本人の確認が取れるまではイニシャル表記にしてあります。 |
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はじめに
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