北米ギター放浪記 メドヴィル前乗り 2014年8月6日 次の目的地であるペンシルバニア州メドヴィルまではナビで2時間ちょっとです。カナダから慌てて返って来たため、予定より1日早く来てしまいました。折角なので、この旅で初めての前乗りでもしようと思っていたら、メドヴィルでお世話になるI氏から「メドヴィルで予定していた会場からカバー曲はできない」と知らせて来たと電話が入りました。オリジナル曲がないわけではありませんが、ワンマンでフルステージやるほどの曲数はありません。民謡や唱歌などを混ぜたところで知れています。何より、万一peacejoytownを目当てに来た人がいたら、カバー曲を一切やらないのではガッカリさせてしまいます。当初は乗り気だったと聞いていたので、何があったのか分からないまま、とりあえず普段弾いていないオリジナル曲をレストエリアの隅っこで練習し始めました。 このI氏は私の中高の後輩で、Facebookでは繋がっていましたが初めてお会いしたのはこの年の春の母校での催しの席でした。私より9歳下なので、在学中に重なることもありませんでした。全寮制という特殊な環境だったため、先輩の名前を知らないことは致命的でしたが、後輩となると、同じ部活にいたり遊び仲間に繋がっている人でもいない限り縁がなかったのです。そんな学校繋がりだけでお世話になれるのも先輩の特権なのかもしれませんが、私は後輩にはまったく厳しくなかったので、ここは先輩後輩抜きでいきたいところです。 I氏にとっては予定外の前乗りでしたが、これは結果的に正解でした。挨拶がてら会場まで行き、カバー曲の件も尋ねようとしたのですが、担当の方の態度がどこかよそよそしく、私の目を見ようともしません。カバー曲に関しては「できない」の一点張りで、peacejoytown名で告知した以上、たとえばライブの後にどこか別の場所(通りとか)で弾けるように準備しておく必要があると訴えようとしましたが、ライブ自体をやりたくないという気持ちが感じ取れたので、結論はI氏と会ってから決めることにしました。私は、相手が嫌がっている時は誰よりも敏感に察知するのです。 ほどなくI氏と会場前で合流し、挨拶もそぞろに翌日のライブについて話し始めました。I氏も私と同じ匂いを感じていたようです。私は通りすがりの者なので、誰に嫌われても構いませんが、この地に住むI氏はそうはいきません。しかし、結論を出すまでにそう時間は掛かりませんでした。その場で担当の方に電話してキャンセルしたいと伝えると「わかった」と素っ気ない返事で、先方もこの言葉を待っていたかのようでした。 万一、翌日のライブに来る予定にしていた方がいるといけないので、Facebookでキャンセルになったことを知らせてからI氏と食事をし、この晩は罰としてメドヴィルから20分ぐらいの場所にあったレストエリアで車中泊することにしました。I氏も私が翌日来ると思って予定を立てていたので、翌日から改めてお世話になるということで。 モントリオール以降、余りいいことがない日が続いていますが、レディングやツーソンで空振りした時のような不安な気持ちはまったくありませんでした。それまでがついていたので、その反動があって当然です。 *文中に登場する人物は、本人の確認が取れるまではイニシャル表記にしてあります。 |
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はじめに
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