北米ギター放浪記

シカゴ

2014年8月10日

前夜の余韻が残る中、デトロイトを出発して次の目的地であるシカゴを目指しました。結局、皆の心配をよそにデトロイトも満喫しました。ダウンタウンに行けばこの街の違う面を見たのかもしれませんが、わざわざ見に行く余裕も気もありませんでした。

leaving Detroit

この日に行くシカゴからも旅を公表した直後には何件かの引き合いがありましたが、結局何も決まらず、折角だから行っておこうということで、オープンマイクをやっている店でも探すつもりでした。そんな中、恐らくバッファローかメドヴィルあたりだったと思いますが、中高の6つ下の後輩I氏から「シカゴにN氏という幼馴染みが住んでいて、もし特に予定がないのであれば寄ってください」とのメッセージが入りました。何でもこの旅のことを伝えたら興味を示してくれ、宿も提供してくれるとのこと。有り難い限りです。

シカゴもその昔フライトの経由地として寄ったことがあるだけで、街そのものは初めてでした。ところが、ナビの指示通りに順調に運転していたら、いつの間にか目的地であるN氏宅前に到着していました。どこかで街並が拝めるのではとそれなりに注意して見ていたのですが、天気が曇りだったこともあり見過ごしたようです。

Roadmap to Chicago

車から出て辺りを見回すと、閑静な住宅街です。すると、そんな私を見つけたのでしょう、N氏夫妻が出て来ました。日本語で挨拶を交わすのは久し振りです。これまでもLAのT氏、オーランドのO氏など何名かの日本の方達とお会いしていますが、N氏のような駐在で来ている方は初めてなので、いつも以上に襟を正して挨拶しました。家の中に入ると、他にも何名か来られていて、その方達とも可能な限りの礼を尽くして挨拶をしました。私が演奏するためと思われる椅子も用意されていたので、まずは演奏をということで、挨拶が一通り済んだ時点でギターを取り出し、チューニングをしながら会話を続けました。もちろん、私はそこにいた方達とお会いするのは初めてでしたが、他にもN氏が初めて会われた方が何名かいたようで、少し固さがありました。前夜のデトロイトがユルユルだったこともあり、私の中ではその違いを楽しんでいたのですが、こういう場をほぐすのも私の務めです。適当に冗談を挟みながら小一時間演奏し、その後、用意されていたサンドイッチなどを頬張ったのでした。

Everyone

来客も帰られて、私とN氏夫妻だけになり、身の上話などを色々としましたが、やはりまだ固さが残っています。無理もありません。突然、放浪者が訪ねて来たわけです。私にとっての日常はN氏夫妻にとっては非日常以外なにものでもないのです。そうこうしているうちに夜も更け、N氏は翌日は出勤ということでその晩使わせてもらう寝室まで案内されました(この時点で初めてこの日が日曜日だということを知りました)。使っていいというバスルームには、なんとウォシュレットが。実は、この旅ではずっと携帯用のウォシュレットを使っていたのです。折角来たのだから何かほぐす方法はないかなどと思いめぐらせているうちに眠りについたのでした。

翌朝、夜明け前に目が覚め、楽しみにしていたウォシュレット付きトイレに座っても、こういう時に限って便秘です。楽しみにしていた遠足当日の朝に熱を出したような感じです。少しするとN氏も起きて来てジョギングに出掛けたので、音を出してもいいだろうということでシャワーを浴びさせてもらいました。その後、キッチンで控え目な音でギターを弾いていたのですが、これが功を奏しました。N氏夫妻の表情が明らかに緩んだのです。何を弾くでもなく爪弾く音が彼らの日常に色を添えたように感じました。出勤時間に合わせて私もN氏宅をあとにし、旅の本編の最終目的地であるミネアポリスを目指しました。この時、視界から消えるまで玄関先で手を振ってくれたN氏に私も最後まで手を振るのを忘れませんでした。

Selfy

*文中に登場する人物は、本人の確認が取れるまではイニシャル表記にしてあります。

「デトロイト」Supporter's Area「ミネアポリス」

目 次

はじめに
出国まで
シアトル
カリフォルニアへ
休息日
サニーベール
LAへ
レドンドビーチ
ツーソンへ
アルバカーキ
コロラドへ (奇跡の旅の始まり)
バーザウド
デンバー
オクラホマシティーへ
オクラホマシティー 2 days
テキサスへ
サンアントニオ
ジョージタウン
ダラス
ヒューストン 2 days
ベントン
ナッシュビル (CAAS)
ロスウェル
タンパ 2 days
マイアミ
オーランド 2 days
マートルビーチ
チャペルヒル 3 days
キングスポート
インディアナへ
インディアナ州フィンガースタイルコンテスト
スタテンアイランドへ
マンハッタン
フィリップスバーグ
ナザレス(マーチン工場)
マサチューセッツへ(奇跡の完結)
メシュエン
モントリオールへ
バッファローへ
メドヴィル前乗り
メドヴィル幽霊ホテル
デトロイト
シカゴ
ミネアポリス
番外編
番外編#2「2008年欧州ツアー/出発まで」
チェコ1
チェコ2
ロンドン
リバプール
チェシャム
ドイツへ
レムゴ
インゴルシュタッド
ブレゲンズ
イタリアへ
フィレンツェ
最後のライブ
帰国